アンドロニコス2世およびミカエル9世パレオロゴス(1295–1320)、バシリコン銀貨(AR)Andronikos II & Michael IX Palaiologoi (1295-1320), Basilikon; AR (2,15 g; 20,7 mm)とヴェネティアのグロッソ貨の比較

研究ノート ·

ビザンツでも約300年ぶりに、1304年までにはコンスタンティノープルでバシリコン銀貨[1]の打造が開始されたが、これはフリーザッハ銀山やクトナ・ホラ銀山(ただし公式の開山は1298年なので少し早いかもしれな)などの東ヨーロッパの活発な銀山開発で大量の銀が東西に還流した結果である。バシリコン銀貨はヴェネティアのグロッソ貨幣を模倣したものと言われる。表面 にはKYPIE BOHΘEI / IC – XC 十字の入った光背(ニンブス)をもつキリストが正面向きに玉座に座り、パリウムとコロビウムを着用し、右手を祝福のために挙げ、左手に福音書を持っている。裏面には AYTOKPATO-PEC PWMAION(原文のまま、誤綴あり) アンドロニコス2世(左)とミカエル9世(右)が正面向きに立ち、両者の間でラバルム(軍旗)を持っている。旗の板の下には円形の意匠がある。

さて、ここで問いを立てたい。ビザンツとヴェネティアの意匠は、聖俗が逆転している。ヴィザンツは表にキリスト(宗教的シンボル)、裏に皇帝(世俗的シンボル)が描かれている。これに対して、ベネティアのものは表に支配者と保護聖人(混交してはいるが)の国家的シンボル、裏にキリストとなっている。ユスティニアノス2世(685–695, 705–711)以降、キリスト像は金貨の表面に固定化されたとグリエルソンは明記している“From Justinian II onwards, Christ appears on the obverse of the gold coinage.”(Philip Grierson, Byzantine Coins, pp. 12–13:ただしAI検索。疑いましょう。)ヴェネティアのグロッソは、Alan Stahl, Zecca: The Mint of Venice in the Middle Ages, pp. 85–90が“The obverse of the grosso shows the Doge receiving the banner from St. Mark…The reverse bears the seated Christ.”という(ただしこれもAI検索で確認が必要)。

このデザインの差異をどのように説明するか。教えてほしい。


[1]https://www.bertolamifineart.cz/uk/auction-0309/andronikos-ii-michael-ix-palaiologoi-1295-1320-basilikon-ar-215-g-207–6835

(H.T.)

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